鐘が鳴ったら子供たちは
西へ東へ誰かの言うままに
¥300何某で一食を買う
あの頃はもっと、こう…
¥10万何某で欠伸を売る
時間を無為に溶かして
僕の末端価値は淡い夕暮れ
流れ行く雨はもう
鐘が鳴ったら子供たちは
西へ東へ夕闇かくれんぼ
誰一人探しに来なくて
縋って埋まって空洞がそこに
¥3万何某で身を委ねる
あの頃はもっと、こう…
¥3千ちょっとの変身セット
今はもう無料のレンタルで
僕は淘汰されます
夕闇街の隅で悲しみは消えて尚
10年と言う月日は蛹の様
あの頃はもっと、こう…
100年後僕ら蛾になれたなら
あの日を越えて彼方へ
鐘が鳴ったら子供たちは
時間も遠ざかって今に大人になる
大好きなものは徐々に消えて
心の空洞もまるで初めから無かったかのように
僕らは忘れて、本当に全部忘れて
それでも僕らは確かにここに居たじゃないか
呼吸が、音が、生活があるなら
僕らは幻じゃない
僕らは夢なんかじゃない